2011年10月05日

かみあそび出張編【ガリ版の魅力を学びに山形へ!】

こんばんはーべにこです:)
なにやら急に寒くなりましたね!
このくらいの季節が一番好きなのでテンションが上がってしまいます。

さて今回から今まで印刷工場や製本現場などをご紹介してきました【かみあそび】の
出張編!なんと山形県に行ってまいりました!
と言うのも、全国的にも数少ないガリ版印刷の資料館を見せて頂く為なのです。

さてみなさま、【ガリ版】ってご存知ですか??
ちなみに、恥ずかしながらわたしは入社するまでその名前も知りませんでした…すみません…

『ガリ版』とは、ガリ版印刷、謄写版印刷とも呼ばれる印刷方法のひとつ
もしかしたらみなさまのお父さんやお母さんは『懐かしい!』と感じるかもしれません。

昭和の初めから40年代中頃にかけてまで、手軽に印刷が出来る方法として
学校の文集やチラシ、少部数の読み物など幅広く親しまれていた印刷方法なのです。

いっしょに行った仙台支店のAちゃん(わたしの同期!)情報によると、
今公開中のジブリ最新作『コクリコ坂から』に主人公がガリ版印刷をしているシーンがあるそうな!
わたしはまだ見ていないのですが要チェックです!

今回ご協力を頂いたのは弊社仙台支店のお客様である中央印刷様。
お話をして頂いた後藤社長は【山形謄写印刷資料館】の館長としても活躍されており、
資料館を案内頂くと同時に、『ガリ版』の魅力を熱く教えて頂いてきました!
この場を借りて、本当にありがとうございます!!

今回から4回に分けて【ガリ版】についてその魅力をみなさまにもお伝えしたいと思います!!

neko.jpg

まず今回は基本、【ガリ版とはなんぞや?

原理はシルクスクリーン印刷(孔版印刷)といっしょ。
以前かみあそびでもご紹介しましたが、版に印刷したい図柄や文字の穴をあけ、
そこからインクを落として紙に印刷する方法です。
(落とす、と言っても実際にはスキージーと呼ばれる
刃のようなもので余分なインクをこそげ落としながら伸ばす、
と言った方がわかりやすいでしょうか…?)


ガリ版印刷に必要な道具は
・版となる原紙
・ヤスリ板
・鉄筆(えんぴつの先が鉄になっているもの)
そして印刷機。この印刷機については次回もあわせて後ほどご説明しますね。

105.jpg


ガリ版の特徴はなんといっても製版、版を作る工程にあります。

原紙は写真を見て頂くと分かるように半透明。
和紙などにロウを塗ったロウ紙と呼ばれるものを使います。
写真のロウ紙にはうっすらとマス目の印刷が入っていますが、なにも印刷されていない白紙のロウ紙も。
基となる原稿がある場合は、このロウ紙を重ねて鉛筆などでなぞり
転写させておきます。

ロウ紙をヤスリ板と呼ばれる板にのせ、印刷したい図柄を鉄筆で書いていきます。

105-2.jpg



そう!手描きなのです!!!今や印刷の版といえばコンピューターで製版が主流ですが、
ガリ版の版は人の手でひとつひとつ書かれたもの。
エッチングに少し似ている気がします。
びっくりと同時になんだかもう愛着がわいてしまう私…。

ヤスリ板にはちょっと凹凸があって、
ロウ紙をのせて鉄筆で書くとガリガリという音が…

ガリ…ガリ…

そう!『ガリ版』という名前はこの""からきているのだそうですよ!
なんてわかりやすく覚えやすいネーミング!

鉄筆でロウ紙に文字を書くと、ロウ紙からロウがこすり落とされて、透かしが入ったようになります。
そこからインクが落ちて印刷できる、という簡単な仕組み。

今の印刷方法しか知らない私にとって、まさか版を人の手で書くなんて…
本当にびっくりしましたが、なんだか納得。
だって資料館で見せて頂いたガリ版作品はなんだか懐かしくて、
人の手のぬくもりを感じられるようなものばかりだったのです。

詳しい印刷方法は次回ご紹介しますが、その方法はとっても単純。
でも、だからこそ日本中の人に親しまれていたのではないでしょうか。
ひとつひとつ丁寧に作られたのだとわかる印刷物ばかり。
手仕事の温かみは時代が変わっても感じる事ができるのですね。

資料の一部はHPで見る事もできるのでぜひご覧ください!
手仕事の温かみとは言え、まさか手描きしたとは思えない作品もたくさんあるんです!!

初回から長くなってしまいましたが…
次回は印刷についてくわしくお伝えします!

お楽しみに♪


posted by kamihiroba at 18:01| かみあそび | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする